拡大版中日

 しばらくはBクラスに低迷していた中日だが、昨シーズンはAクラス入りした。その要因は投手力が安定してきたからだろう。拡大版では沢村賞投手の大野雄大は当然の選出。また、抑えから先発に転向して、8勝2敗と力強い投球を見せた福谷浩司も選ばれた。抑えのマルティネスが安定したピッチングで21セーブ。こちらも選ばれた。残り1つは、最優秀中継ぎに輝いた祖父江大輔や福敬登を差し置いて、柳裕也が選ばれた。

 捕手はキャリアハイの数字を残した、木下拓哉が選ばれた。今年も試合にたくさん出て、レギュラーを完全に掴み取りたい。内野手は、ビシエド、阿部寿樹、高橋周平、京田陽太と鉄板の4人が選ばれた。3年目の根尾昂や2年目の石川昂弥が4人の牙城を崩せるか。外野手は大島洋平のみ選ばれた。平田良介は故障に苦しんだ。また、福留孝介も復帰した。こちらも、若手の岡林勇希が虎視眈々とレギュラーを狙っている。活躍ができると、来年の拡大版に近づける。また、根尾昂も参戦してくるかもしれない。拡大版に外野手が1人ということは、決定的なレギュラーはいなくて、サバイバルになると言っているようなものだ。レギュラー&来年の拡大版を射止めるのは誰か。

 

開幕まで3週間ほど

 2021年開幕まで3週間を切った。今年はコロナ禍の中で行われるが、今のところは無事に開幕を迎えれるだろう。

 さて、巨人は昨年のドラフト会議で、左の大砲の佐藤輝明を抽選で外した(実際には当たりくじが残っていなかった)。そこで、ドラフト5位で秋広優人を獲得した。最初は200センチの身長がピックアップされて、名前が売れた。投手としては最速144キロ、打者としては高校通算23本塁打。巨人は大型三塁手として、じっくり育てる予定だったが、紅白戦で安打を固め打ち。1軍に残って、オープン戦に帯同。そして、3月6日のオープン戦で安打を放った。

 

 まさに、嬉しい誤算だろう。秋広優人の活躍は他の選手に刺激を与えて、チームの活性化につながっているだろう。巨人の一塁手を見ると、新外国人よスモークやテームズが起用される予定だったが、緊急事態宣言により来日できず、開幕戦は絶望的。内野の一つのポジションが空いたことになる。そこの枠に入ろうと秋広優人が出てきた格好になった。ところが、ベテランの中島宏之、中堅期待の北村拓己、亀井義行陽岱鋼も守れる。そして、昨年活躍したウィーラーも狙っている。実はこのポジションは激戦区となる。開幕戦でに1軍に残れるかは分からないが、上での活躍も見てみたい。また、打てなくなった時にどのような起用になるのか。一日一日目が離せない。

拡大版阪神

 阪神の拡大版投手。西勇輝が11勝5敗とエースに相応しいピッチングでノミネート。秋山拓巳も11勝3敗で貯金を8つ作って選ばれた。25セーブのスアレス規定投球回に到達した青柳晃洋の4人が順当に選ばれた。このメンバーに岩貞祐太や髙橋遥人の両左腕が絡んでくると、チームはもっと強くなるだろう。

 捕手は故障もあったが、梅野隆太郎が今年も選ばれた。内野手は岡本和真と本塁打王を争った、大山悠輔、安定した守備でチームを支えた木浪聖也、大型ルーキーの佐藤輝明が順当に選ばれる。後1つは、陽川尚将が選ばれた。自己最多の8本塁打を記録するなど、活躍した。ここに、糸原健斗や巨人から移籍した山本泰寛らが絡めるか。外野手は盗塁王の近本光司。勝負強さでレギュラーを掴んだサンズの2人は問題なく選ばれた。後1つはベテランの糸井嘉男が選ばれる。膝の故障で成績は落ちたが、選ばれた。2年目の井上広大が糸井嘉男に挑戦する今シーズン。来年の拡大版に選ばれるような活躍ができるか。

 

 どのポジションも若手とベテランの争いとなっている。新旧交代が起こるのか。また、ベテランがポジションをキープするのか。目が離せない。

セカンド争いが

 毎年、このネタが舞うこの時期。昨シーズンは吉川尚輝が規定打席に到達して、レギュラー確定かと思われた。ところが、原監督の信頼を100%得られたわけでは無かった。広範囲の守備範囲に打撃の確実性も備わってきた。しかし、北村拓己をキャンプで特訓したり、田口麗斗をトレードで出して廣岡大志を獲得したりと競争を煽っている。

 なぜ、競争を煽るのか。当初は1番打者を打っていた。ところが、梶谷隆幸の獲得によって、梶谷隆幸がトップバッターとして起用される見込み。梶谷隆幸坂本勇人丸佳浩、岡本和真とここまでは迫力のある打線。一塁手に新外国人を置く予定だったが、コロナ禍の緊急事態宣言により開幕絶望。それでも、ウィーラーや中島宏之がいる。そして、6番7番8番には、キャッチャー、セカンド、レフトの守備位置の選手が入ることになる。6番以降は、吉川尚輝、大城卓三、松原聖弥、投手となると打線力は落ちる。更に昨年は左打者のレギュラーが少なかったために、貴重な左打者だったが、今年はこれも梶谷隆幸の補強により落ち着いてきた。そこに、ポスト坂本勇人の動きも絡みつつある要素だ。まとめると、吉川尚輝は若手の部類ではなく、中堅に差し掛かっている。同じ実力だと若手を使いたくなるのが、この世界の掟でもあるからだ。吉川尚輝がレギュラーを取るためには、安定した守備と3割以上の打率、4割近くの出塁率が必要なのではないか。

 

拡大版オリックス

 オリックスの拡大投手。防御率は2位ながら8勝4敗と二桁に届かなかった、山本由伸は必須。16セーブを挙げた抑えのディクソンも選出。4勝6敗と奮わなかったが、規定投球回に達した田嶋大樹も選ばれる。投手は3人しか選出されなかった。2年連続開幕投手だった、山岡泰輔が左脇腹故障で長期離脱のため4勝。メジャー帰りの平野佳寿も拡大版にならず。そして、高卒ドラ1ながら、先発で白星を挙げた宮城大弥が来年の拡大版に入るような活躍ができれば、パリーグは面白くなる。

 捕手では若月健矢が拡大版に。昨年は伏見寅威と似たような成績だったので、ガッチリと正捕手を掴みたい。内野手は、キャリアハイの打率をマークした安達了一、存在感を表した福田周平の二遊間コンビが選出。外野手では、大物2年目大リーガーのジョーンズ、首位打者吉田正尚、16本塁打と復活したT -岡田、2年ぶり復帰のロメロが選ばれた。2年目のジンクスにハマった中川圭太、期待の若手の紅林弘太郎や太田椋がレギュラーを取り、来年の拡大版を掴むことができれば、バランスの取れた打線が形成され、世代交代が進むだろう。チーム全体的にいい選手がいるので、まとまって一つになった時は脅威となるだろう。

 

ビックリ

 久しぶりにびっくりしたニュースが飛び込んできた。トレードの話である。田口麗斗と廣岡大志のトレードである。先発左腕が不足しているヤクルトと、坂本勇人の後継者を作りたい巨人の思惑が一致したとみられる。推定年俸が7000万円の田口麗斗と1600万円の廣岡大志という格差トレードで注目されている。

 田口麗斗は高卒2年目の時に、先発の機会をもらいそれを活かして3勝を挙げた。そして、2016年には10勝10敗で二桁勝利を記録。2017年は13勝4敗と圧巻の成績。待望の先発左腕が誕生した。と思われたが、翌年は2勝8敗と不振。2019年からは中継ぎ投手として、活路を見出すも防御率は4点台とイマイチ。今年はキャンプインでいきなりの離脱もあった。一方の廣岡大志は岡本和真の1年後輩で、長距離砲と期待されていた、2019年に二桁本塁打(10本塁打)をマーク。このまま、岡本和真のように大砲になると思われたが、レギュラーに定着できずにいた。内野全ポジションと外野もこなせるので、巨人では貴重な戦力となりそう。ただ、北村拓己など似たタイプもいるので、まずは競争だろう。今回のトレードは衝撃だったが、お互いのチームのニーズに合ったトレードではないか。

 

拡大版日本ハム

 ベテランが抜けても若手が育ってくるイメージがある日ハム。しかし、ここ最近はそうでもなくなっているような感じ。

 投手の拡大版は、大怪我から復活して8勝を挙げた上沢直之。不動の中継ぎ左腕の宮西尚生上沢直之と同じく8勝を挙げたバーヘイゲン。残る1枠はキャリアハイの成績7勝を挙げた杉浦稔大。エースの有原航平が大リーグへ移籍したため、滑り込んだ。この3投手中心に今年もローテーションを回さなければ、苦戦するだろう。

 

 捕手は元巨人の宇佐見真吾が選出。成長の足跡が見えたか。今年は正捕手を掴むことが最大の目的だろう。内野手打点王に輝いた中田翔、セカンドのレギュラーをものにしつつある渡邉諒が選ばれた。そして、打率は1割台ながら、43安打7本塁打清宮幸太郎が滑り込んだ。外野手は大リーグ移籍がまとまらず残留した西川遥輝侍ジャパンの近藤健介、元巨人の大田泰示の3選手。計7選手が選ばれた。野手は、やや高齢化しているが、不動なメンバーになってきたので、後は先発投手が課題になるのか。河野竜生も今年は結果を出したい。そして、甲子園を沸かせた柿木蓮や吉田輝星が、拡大版に出てくるような活躍ができれば、上位進出も可能だろう。