いつの間にか抜かれていた日本記録

 プロ野球において、いろいろな記録がある。表彰される記録から、記録はされないが地味な記録など。本塁打では王貞治が868本で日本記録。勝ち星では金田正一が400勝で日本記録。巨人で高木京介が持っていた地味な日本記録があった。それは初登板以降の無敗日本記録というものだ。すなわち、何試合連続で負け投手にならないのかということだ。

 高木京介星稜高校出身。ゴジラ2世とも言われた。このゴジラ2世は過去に何人かいたが…。高木京介は久しく低迷期を迎えていた星稜高校を見事に甲子園へ。そして、國學院大を経て2011年のドラフト4巡目で巨人に入団。2012年の入団年はオープン戦から好調で開幕一軍の切符を掴んだ。開幕2戦目で投げるも左肩痛のために登録抹消。6月16日に故障も癒えて1軍に戻ってくる。そして、7月4日から9月18日まで投げた試合23試合連続無失点というセリーグ記録を作った。34試合2勝0敗1セーブ。防御率0.57。と言う神がかった成績だった。そして46試合、26試合、33試合と3年間無敗で投げた。しかし、2016年に野球賭博に関与していたと言うことで、1年間の失格処分となる。2017年に解除が解かれたために、育成選手として巨人と再契約。2017年はブランクもあり、支配下選手に戻れなかったため、2軍で過ごした。2018年の開幕前に支配下されて、開幕1軍を掴む。ところが、3試合目のヤクルト戦で2回6失点と炎上して登録抹消された。この年は3試合だけの登板も、無敗記録は続行。2019年の6月4日の楽天戦の同点の8回裏に登板。浅村栄斗に勝ち越し本塁打を打たれて最終回を迎えた。連続無敗記録は途絶えたと思われたが、ビヤヌエバが逆転ツーランを打ち、負けはつかなかった。6月14日の日ハム戦で王柏融に勝ち越し本塁打を打たれる。その後、ジンクスを信じ切った巨人ファンは逆転してくれるものだと思ったが、そのまま追いつくことなく敗れてしまう。その瞬間、高木京介にプロ初黒星がついた。165試合目での初黒星だった。この年に元巨人で日ハムの公文克彦が61試合を投げて記録を174に伸ばしたため、日本記録保持者は公文のものとなった。

 この記録の難しさ。まず、先発投手には不可能。田中将大の24勝0敗みたいなピッチングをしても、登板は30試合ぐらい。普通だと、どこかで負けがつく。勝利の方程式に入れない中継ぎ投手がこの記録に近づく。ただ、ずっと好投していると、同点の大事な場面での起用が続き、結果負け星がついてしまう。もちろん、守護神だと1年で何試合かは逆転をくらい、負け星がつく。敗戦処理でずっと投げれるかと言うと、その枠は若手などが起用されることもあり、難しい。セットアッパーで年間70試合ぐらい投げて負けがつかず、それが数年続けば価値はあるのではないか。しかし、敗戦処理でも無失点に抑えてゲームを壊さない役割も大切である。ともあれ、負けがつかないことは、悪いことではないので、公文にはどこまで伸ばせるか挑戦してほしい。