1番印象に残るサヨナラ本塁打

 サヨナラ本塁打はなかなか打てることができないものである。まず、そのようなシチュエーションが絶対的に少ないからである。まずは後攻で試合をする事が必須。プロ野球ではホーム&ビジター制なので、確率はこの時点で半分となる。更に、点数差が開いているとこのような場面に辿り着けない。シチュエーションとして、負けている時か同点の時が候補になる。1点負けのツーアウトランナー1塁などが候補となる。1点差負けのノーアウトランナー1塁だと、送りバントという選択肢も出てくるし、ダブルプレーという最悪を考えてしまい一発の確率がグンと落ちる。他にも要素はあるが、サヨナラ本塁打を打つことは、とてつもなく難しい事だ。

 前置きが長くなったが、1番印象に残っているサヨナラ本塁打は、2000年9月24日のあの本塁打だろう。セリーグ優勝に王手をかけていたレギュラーシーズン131試合目(当時は135試合制)。神宮でのヤクルト戦が4試合残っていたが、本拠地東京ドームで優勝を決めるには今日勝つしか無いという1戦。0対4で迎えた9回裏。敗戦濃厚ムード。相手投手の前田から2番レフト元木がライト前ヒット。3番ライト高橋由伸もライト前ヒット。投手はギャラードに代わり4番センター松井秀喜もライト前ヒットでつなぐ。東京ドームのボルテージは最高潮。5番ファーストのマルティネスは三振に倒れたが、6番サード江藤が左中間に値千金の同点満塁本塁打。ボルテージは最高潮を超えて、もう訳わからない状態になった瞬間出来事は起こった。続く7番ショート二岡が初球を打つ。確か、二岡がバッターボックスに入っているか分からないほど、球場でもテレビ前でも盛り上がっていた。小川アワアンサーの「右へ〜。どうだ〜。入った〜。ジャイアンツ優勝」と言う実況が物語るような一撃であった。そして長嶋監督の胴上げ。歓喜の瞬間だった。

 私はテレビをライブで見ていて、逆転を信じ応援していた。中には、9回の裏に球場を出た人、テレビ観戦でチャンネルを変えた人もいたであろう。私の中で、サヨナラ本塁打とくれば、この本塁打が真っ先に出てくる。この重量打線が、このように繋に繋げば最強無双だったのでは無いだろうか。これでも十分強かったけど。